『たけしのコマ大数学科』第一期 DVD(2枚組)
出演:ビートたけし、ポヌ・ジョジアヌ、たけし軍団、竹内薫、中村亨
制作:フジテレビ
1991年から2013年までフジテレビでは、ビートたけしさんの深夜枠レギュラー番組を放送していました。「北野ファンクラブ」や「世界の北野、足立区のたけし」、「北野タレント名鑑」など、フリートークやクイズ、深夜ならではのお色気ゲームなど楽しい番組が多くありました。その深夜枠で、2006年から2013年まで放送したのが、「たけしのコマ大数学科」。第1回から第82回の放送までは、「たけしのコマネチ大学数学科」のタイトルで放送されました。
「たけしのコマ大数学科」では毎週、大学レベルの数学の問題をマス北野(ビートたけし)、現役東大美女チーム、コマネチ大学数学研究会チーム(たけし軍団)の3チームが挑戦。問題の解答と解説はサイエンスライターの竹内薫さんと、数学ライターの中村亨さんが担当しました。
ビートたけしさんは数学好きで、実は数学者になりたかったそうです。自身は明治大学工学部へ進みますが、東大を目指す同級生に数学を教えていたほどの実力の持ち主。本番組でも、閃きで一瞬にして問題を解く場面が何度もありました。
当初は一人で「マス北野チーム」として解答していましたが、第65回の放送からポヌ・ジョジアヌさん(ゾマホンの配偶者)が、チームに入りました。番組末期にポヌ・ジョジアヌさんが番組を卒業したあとは、元・現役東大美女チームの木村美紀さんがチームに合流します。
毎回、より数学的な解答をした チームへ送られる「コマ大フィールズ賞」は120回獲得しました。(現役東大美女チームは137回、コマネチ大学数学研究会チームは35回獲得。)
番組内で思わず笑ってしまうのが、コマネチ大学数学研究会チーム(たけし軍団)。マス北野チームと現役東大美女チームは、いろいろな数式を駆使して本格的に問題を解くのに対し、コマネチ大学数学研究会チームは毎回、体を張ったり、長時間実際に試したりするいわゆる力技で解答します。
例えば確率の問題で、「10分間のファッションショーがあり、水着モデルが10分の間のどこかで1分間だけショーに出ます。そして1分間だけ撮影できるカメラマンがいて、そのカメラマンはどのくらいの確率で水着モデルを撮影できるか?」というモンテカルロ法を扱った問題がありました。
その問題に対しコマネチ大学数学研究会チームは、モデル役とカメラマン役に別れて、事前に出る時間を決め実際に試しました。それを100回繰り返し、23回撮影できたので「23/100」と解答。しかし残念ながら不正解でした。
他に面白かったのは、「3つの円がありその3つの円の中心点を求めよ。」という問題の解答で、壁にその3つの円が描かれた問題を貼り、そこへダーツを投げ、3つの円の中心から刺さったポイントを測るやり方で何時間もひたすらダーツを投げて試しましたが、けっきょく正確な位置を知ることは出来ませんでした。
そんなコマネチ大学数学研究会チームですが、「コンピューターオタク」からは人気があったそうで、コマネチ大学数学研究会チームの力技の解答方法は、実は、コンピューターで問題を解析する場合と同じやり方なのだとか。
確率の問題などを解析する場合、コンピューターではその計算速度の速さを利用して、実際に10万回、100万回と、その問題を試して答えを導くのだそうです。
数年前に番組を思い出し、また観たくなったので第一期のDVDを買いました。3000円程度で買えたので、少しづつ集めようと考え、第二期のDVDを調べると1万円近い値段でした。躊躇(ちゅうちょ)して買うの保留にしていたのですが、最近になって確認すると1万3000円に値上がりして、中には10万超えの品もありました。
私が買った第一期のDVDは中古品でしたが、初回限定の付録「コマ大ノート」も付いてました。
私は学生時代から数学は苦手で、全然できません。「たけしのコマ大数学科」は数学の概要が知ることができて、毎回楽しめました。(私の頭では大まかにしか理解できませんでしたが。)
『コマ大数学科特別集中講座』
著者:ビートたけし
竹内薫
発行:20013年(単行本は2006年)
出版社:扶桑社新書
コマ大数学科の「マス北野」こと、ビートたけしさんと、番組で解説を担当している、サイエンスライターの竹内薫さんが、「数学」について熱く語ります。
二人の対談と12問の数学クイズを収録。対談では番組での苦労話から、数学と映画の関係、数学者・物理学者のちょっと変わったエピソードなどを披露。二人で難しい数学の問題にも挑みます。
面白かった話をいくつか紹介。
ビートたけしー「高校でも東大を受けるような同級生に数学を教えてたりしてた。明治大学を受けるときも、数学だけで合格したようなもんなんですよ。」 Kindle版ー118から引用
ビートたけしー「映画や芝居の映像表現に計算が必要ないなんて、それはとんだ間違いなんですよ。映画のカット割りや芝居の舞台構成なんてのは、加減乗除の繰り返し。代数や幾何、因数分解ができないと、映像表現はできないんだと思いますよ。だから、芸大の入試にも数学をやらせたほうがいい。理数系が嫌いだとか、数学ができなくても自分は「文系」だからいいみたいな嘘くさい理屈がまかり通ってる。「理系文系」なんて言い方をしてるからダメなんだな。数学は文系でもできなきゃいけないと思いますよ。」 Kindle版ー521~531から引用
竹内薫ー「数学とか物理学をずっとやっていくと、どんどんどんどん数字が出てこなくなる。数字から離れて抽象的な世界に入ってしまうんですね。そうなると数式の展開でも具体的な数字は出てこなくて、抽象的な記号ばかりです。だから、数学の世界にどっぷり浸ってしまうと、簡単な数字の計算なんかができなくなってしまうんですね。」 Kindle版ー883から引用
竹内薫ー「たぶん、物理学をやっているような人間が集まっている集団では、割り勘の計算が誰もできないんですよ。」 Kindle版ー889から引用
思わず唸ってしまう話が多く載っていました。