おすすめブックガイド

私の趣味は読書です。本を読むスピードは遅く、読む量は1週間に1冊、年間50冊程度です。私は現在53歳。あと20年しっかり頭が働いたとしても、残りの人生で1000冊程度しか読めません。この数を多いとみるか、少ないとみるか。私はだいぶ少ないと思っています。

ちなみに総務省統計局のホームページに載っている書籍新刊点数は令和3年で年間「69052点」。年間約7万冊もの新刊が出版されています。

いつの頃からか、本を読む際にどの本から読もうかと優先順位を考えるようになりました。残りの人生で読める本の量を意識してのことです。そしてブックガイドなどにもよく目を通すようになりました。

今回はこれまで読んだブックガイドの中でおすすめの本を紹介します。


『「読まなくてもいい本」の読書案内』 著者:橘玲

本書ではタイトルにある様に「読まなくてもいい本」を挙げているわけではなく、知の最先端に効率的にたどり着くための「読むべき本」を提示しています。

著者の橘玲さんはこの本の中で、20世紀半ばから現在までの間に「学問」の秩序を組み替えてしまう程の大きな変化が起きたとし、その変化のことを「知のパラダイム転換」と呼んでいます。そして「パラダイム転換」以前の古いパラダイムで書かれた本は、がんばって読んでも費用対効果に見合わないとしています。(古いパラダイムの例として、哲学の構造主義を挙げています。)

それから、古いパラダイムに対する新しいパラダイムとして、「複雑系」「進化論」「ゲーム理論」「脳科学」「功利主義」を挙げ、それぞれの分野を詳しく説明し、その分野で参考になる本をいくつか掲載しています。

毎年、何万冊もの書籍が出版される中で、「読まなきゃいけない本」が増え続けて困っている人が多いと思います。そんな中で、新しい知のパラダイムを知り、これからの「読まなきゃいけない本リスト」を見直すことで、知の最先端に効率的にたどり着ける事ができるというわけです。


「読まななくてもいい本の読書案内」では、古いパラダイムとして「哲学の構造主義」を挙げていますが、それでも哲学の古典を一度は読んでみたいという人もいると思います。しかし古典と呼ばれる本は、読破できない難しい本が多いもの。そこでオススメなのがこの本。

『読破できない難解な本がわかる本』 著者:富増章成

「まず、おおざっぱに理解して、興味を持てば原典にあたればよい」をモットーに、アリストテレスの「形而上学」から、トマ・ピケティの「21世紀の資本」まで、古今東西の難解な名著60冊をそれぞれ見開き4ページに解説。図説も多く、名著の基本的なエッセンスをわかりやすく理解できます。


『科学名著図鑑』ニュートン別冊

ニュートン別冊による、科学に関するブックガイド。「宇宙」「物理」「生物」「テクノロジー」「数学」「科学史」の6つの分野から計142冊の本と8本のSF映画を掲載。入門書から古典まで、また単行本、文庫本、新書、図鑑など科学の名著を幅広く紹介しています。


『竹内薫の「科学の名著」案内』 著者:竹内薫

サイエンスライター竹内薫さんによる「科学本」のブックガイド。90冊の名著とそれに関わる背景などを丁寧に解説しています。また読まなくてもいい、科学の古典も何冊か挙げています。科学の古典にはわかりにくい本もあるので、難しい原典を読むよりも、その本の解説本を読んだほうが良いとして、解説本や関連書をいくつか紹介しています。

副題にあるように文系の方でも楽しめます。


『ちょっと本気な千夜千冊 虎の巻』 著者:松岡正剛

編集者の松岡正剛さんが運営しているサイト「松岡正剛の千夜千冊」(ブックナビゲーションサイト、現在1800冊余りの本を紹介しています)が以前に書籍化されました。本書はその「千夜千冊」の解説本。取扱っている本は、古典から新書まで、また科学書から小説・詩集まで、文系・理系すべてのジャンルを幅広く紹介しています。またちょっとした読書術なども紹介しています。

本好きの方はもちろん、普段あまり読書をしない方も、サイト「松岡正剛の千夜千冊」は一見の価値あり。


『立花隆の書棚』 著者:立花 隆 写真: 薈田 純一

私が読書をするようになったのは、20代の頃に立花隆さんを知ったのがきっかけでした。30年前の頃です。立花隆さんは「知の巨人」と呼ばれ、蔵書は5万冊ともいわれていました。

本書は、立花隆さんの仕事場であった、通称「猫ビル」(外壁に大きな猫の絵が描かれていました)と三丁目書庫、立教大学研究室の書棚をすべて撮影したもの。書棚に収められた膨大な本の前で立花さんが本についていろいろと解説しています。

立花隆さんは、2021年4月30日に急性冠症候群により亡くなりました(享年80歳)。日経新聞の記事によると、5万冊を超える蔵書は、立花さんの遺志で古書店に譲渡されたそうです。(一部の書籍は関連する施設や研究者に贈られた。)


現在はネットで簡単にいろいろな情報が手に入るにようになりました。しかしネットでは、フェイク・ニュースやただの炎上記事等、まだまだ玉石混交の状態です。正確な(書籍が全て正しいとは言いません)情報をまとめて欲しい場合は、まだまだ本の方が良いように思います。

私は10代の頃はぜんぜん本を読まなかったので、随分損をしたなと思いました。子供にはぜひ本好きになって、いろいろな本に触れてほしいと思っています。


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