デトロイト・テクノ

20年程前の年末に当時NHKで流れていた、海外ドキュメント「ロックの歴史」の放送を観ました。1回60分放送の5回シリーズの放送で、かなり見応えのある内容の番組でした。

1950年代のチャック・ベリーに始まり、エルビス・プレスリー、ビートルズと年代順にロック音楽とロックを取り巻く環境を解説した内容でした。時代が進むにつれ音楽もロックだけでなく、1980年代では”ヒップホップの台頭”に焦点を当て、ロックとラップを融合した音楽として「Run-D.M.C.」や「ビースティ・ボーイズ」などが取り上げられていました。

そしてラップと共にテクノ音楽も取り上げ、テクノの代表的なミュージシャンとして、デトロイト・テクノの「デリック・メイ」と、80年当時エレクトロ寄りの音楽を発表していたイギリスのロックバンド「ニュー・オーダー」を紹介していました。 

私はこの放送を観て、初めて「デトロイト・テクノ」という言葉を知りました。


「デトロイト・テクノ」は、1980年初頭にアメリカのデトロイトで生まれ、シンセサイザー、ドラムマシン、シーケンサーを使った機械的な音楽スタイルとミニマリズム(シンプルなリズムとメロディ)が特徴の音楽になっています。

初期の主要メンバー「ホアン・アトキンス」と「デリック・メイ」が、デトロイト・テクノの基礎を築き、「ケヴィン・サンダーソン」がその発展に大きく貢献したと言われています。

デトロイト・テクノは、今ではテクノのメッカとなっているドイツの「ベルリン・テクノ」にも大きな影響を与えています。(ベルリン・テクノは、ユネスコの無形文化遺産に登録されています)


『INNOVATOR』 デリック・メイ
1996年リリース 2枚組 125分 全26曲

代表曲は「Strings of Life」

収録曲『Icon (Montage Mix)』は機械的な音楽でありながらも、シンセサイザーのピッチコントロール(ツマミで音程を上げ下げする)を使って、見事に情緒的な部分を表しています。私には、人間が破滅に向かって崩れていくような、そんな状況を表現しているように感じました。


 

「ロックの歴史」の放送を観たあと、すぐにデリック・メイのアルバムを買いにCDショップへ行きました。手に入れた本CDを初めて聴いた時は、当時あまり好きではなかったトランス音楽を聴いているようで、すぐにはハマりませんでした。しかし何度も聴いているうちに現代音楽のような感じもしてきて、好きなアルバムのひとつになりました。

デジタル音楽なのにどこかアナログ感もある不思議な音楽です。30年ほど昔の古いアルバムですが、今聞いても十分楽しめます。


『ベスト・オブ・ニュー・オーダー』
ニュー・オーダー

1994年リリース 62分 全16曲

1980年に結成したニュー・オーダーは、シンセサイザーを駆使したエレクトロ要素の強い音楽作品を作り、1983年には大ヒット作「ブルーマンディ」を発表しました。前進のバンド「ジョイ・ディヴィジョン」は、レディオヘッドなどにも影響を与えたといわれています。

1985年、当時中学3年生だった私は、「LL・クール・ J」や「アート・オブ・ノイズ」、「ポール・ハード・キャッスル」等、ラップやハウス系音楽をよく聴いてました。また当時一緒に遊んでいた友人の姉がよくディスコに通っていて、その影響でディスコミュージックもよく聴いていました。ハイエナジー系のユーロビートの曲が多かったですが、そんな中ディスコミュージックの定番、ニュー・オーダーの「パーフェクトキス」も大好きでよく聴いていました。

年を取ったからか、最近はこのような古い曲を聴くことが増えました。(年を取るとだんだん新しい音楽を聴かなくなると聞いたことがあります)

冒頭に取り上げた、ドキュメント「ロックの歴史」では、ニュー・オーダーのインタビューもありました。その内容は、「シンセなどの電子楽器は、人間味がないと批判を受けている」というものでした。ボブ・ディランもアコギをエレキギターに変えただけで、かなり叩かれました。

何か新しいことが起きた時は必ず反対する人が一定数はいるもんだと、そのインタビューも観ながら思った事を思い出しました。


#デトロイトテクノ #デリックメイ #ニューオーダー

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