Chat GPTに聞いてみた。

2024年5月21日、EU(欧州連合)理事会は、世界に先駆けてAI法案を採択しました。これによりEUでは早ければ2025年初めには法案の一部が、2026年からは全面的に法案の適用が開始されAIへの規制が始まります。その一方でEUは規制を進めるだけでなく、積極的にAI開発の支援に対しても重視していて、「規制と活用」を両立する方針を打ち出しています。

ちなみに生成型AIに関しては、施行から12カ月後に適用を開始することになっています。


『ChatGPT資本主義』

著者:城田真琴
発行:2023年9月
発行所:東洋経済新報社

本書の「はじめに」では、マイクロソフトの共同創設者、ビル・ゲイツ氏の2023年3月のブログが紹介されています。そのブログの中でゲイツ氏は「人生において、革命的だと感じた技術は2つしかない」として、1980年のGUI(Windowsのようなマウスで操作出来るインターフェイス)と、オープンAIのGPT(AI)の2つを挙げています。

本書は、そのGPT(ChatチャットGPT)と、それを取り巻く世界の詳細を詳しく解説しています。とても分かりやすくオススメの一冊です。

まずChatGPTに出来ることとして、
(1)質問回答やチャット  ー既存の知識にもとづき質問に回答したり、リストを作成する。
(2)文章の修正や要約、また翻訳や意訳。
(3)文章からキーワードを自動で抽出、また文章を解析したりする。
(4)プログラミングの支援  ープログラミング言語の変換やバグの修正など。
その他にも色々な活用法を解説しています。またプラグインなどの拡張機能を追加することで活用法が広がるとして、いくつかのプラグインも紹介しています。

活用法の中で特に注目したいのが(1)の質問回答。この活用法によって、ChatGPTがインターネットの検索エンジンの代わりになる可能性があるそうです。実際に使ってみるとわかりますが、検索エンジンを使用して何かを調べる場合、キーワードを入力してあがってきた検索結果の中から目的に合いそうな記事やブログ等を探して、目的のものを調べます。

これに対してChatGPTの場合は、質問に対して膨大な量のデータから回答を作成するので、回答そのものが目的の記事になることになります。これにより検索エンジンでの玉石混交の検索結果の中から目的の記事を探す手間が省けます。またChatGPTでは、繰り返し質問を重ねることで、より精度の高い回答が得られるのだそうです。

ニューヨーク・タイムズによると、2022年12月にグーグルはChatGPTにより検索の未来が変わるかも知れないとして、社内に向けて「非常事態」を宣言したとの内容の記事を報じています。

ChatGPTの利用が増え、検索エンジンの使用が減少すれば、ネット広告のあり方も変わってくる可能性があり、本書『ChatGPT資本主義』によれば、すでにアメリカではチャット連動型の広告も出てきているのだそうです。

そんなChatGPTでも現状ではいくつか問題を抱えています。

まず大きな問題として「ハルシネーション現象」があげられます。これはChatGPTが質問に対して間違った回答を返す現象のことで、ChatGPTがインターネット上のテキストデータを学習している為に、時にはネット上の誤った情報も学習したり、ChatGPT自身が情報の真偽の判断ができない事が原因になっています。

その他の重要な問題としては機密情報の漏洩や、個人情報の収集の問題があります。これは、ChatGPTがユーザーが入力したデータを学習に利用する可能性があるためで、この事を受けてイタリアでは、EUの『一般データ保護規則』(GDPR)に違反している懸念があるとして2023年3月に、ChatGPTを一時使用禁止の措置をとりました。(2023年4月28日に使用禁止を解除)  

大きな可能性と色々な問題をもつChatGPTですが、大方の予想では将来はスマホやパソコンのように多くの人が普通に使うようになると予想されています。ちなみに本書によると、ChatGPTを生み出したオープンAIでは、AIによって人間の生活を豊かにする事と、誰もがAGI(汎用人工知能)の恩恵を受けられるようにすることを目標にあげているそうです。


ChatGPTを実際に使ってみて面白そうだったので、いろいろと質問をしてみました。

質問(1)「世界は平和になりますか」

ChatGPTの回答 
世界が平和になるかどうかは、非常に複雑で多くの要素が絡む問題です。平和の達成には、政治的、経済的、社会的、文化的な要素が影響を及ぼします。 
ー中略ー 

世界が完全に平和になるかどうかは予測が難しいですが、ポジティブな変化を促すための努力は続けられています。個々の国や地域、さらには個人のレベルでの努力が積み重なり、少しずつ平和に近づくことが期待されます。平和の達成には、時間と持続的な努力が必要ですが、それを目指して行動することが重要です。


質問(2) 「世界を平和に出来る具体的な方法を2つあげてください。」

ChatGPTの回答
「世界を平和にするための具体的な方法として、以下の2つが効果的です。
1. 教育の普及と質の向上

2. 経済的不平等の是正と持続可能な開発 
ー中略ー
これらの方法を通じて、長期的に平和で安定した社会を築くことができます。教育の充実と経済的不平等の是正は、共に人々の生活の質を向上させ、紛争の根本原因に対処するための効果的な手段です。」 


2つの質問に対するChatGPTの回答は、けっして斬新なものではなかったですが、人間は好き嫌いや考え方にバイアスがかかった動物なので、他の人から意見を言われるよりも、AIから意見をされた方が意外に受け入れやすいのではないかと思えてきました。


その他のChatGPTについて書かれた本を2冊紹介。

『ChatGPT 見るだけノート』

監修:松村雄太
発行:2023年9月
発行所:宝島社

宝島社の人気のある「見るだけノート」シリーズ。

知識ゼロだけどChatGPTがどんなものか知りたいという方への、初心者から中級者向けの本です。また公式サイトでの始め方や使用上の注意も掲載しているので、とりあえず使ってみたい方にもオススメの本です。

入門書ですが、ブログやSNSでの利用方法や日常での楽しい使い方なども掲載しているので、結構活用できる内容です。


『ChatGPT時代の文系AI人材になる』

著者:野口竜司
発行:2023年10月
発行所:東洋経済新報社

ChatGPTなどの生成AIを使いこなすには、プロンプト(生成AIへの命令や質問)が重要だとされています。

生成AIの登場により、プログラムなどわからなくても、言葉でAIを操ることが出来るようになりました。このことから、たとえ文系人材であっても良いプロンプトを作成する能力があれば、十分にAIを使いこなせると解説しています。

本書は、「AIはExcelぐらい誰もが使うツールになる」という認識から、ChatGPTを使いこなす事に重点を置いた内容になっています。

必須スキルとして「プロンプト力」をあげ、他にもAI企画力やAIマネジメント力についても説明しています。

本書の後半部分では、いろいろな業界や多くの実在する企業での活用事例の詳細も紹介しています。この幅広い事例を読むだけでも、ChatGPTの大きな可能性が伺えます。


最後にオープンAIの設立者で最高経営責任者のサム・アルトマンは、「AIは世界に危害を及ぼす可能性がある」と発言もしています。

AIについて詳しく知りたい方はサイト(Ldge.ai)もおすすめです。


#ChatGPT #AI #プロンプト

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