山崎 元  最後の講義

今年の1月1日に他界された経済評論家の山崎 元さん。その山崎さんの最後の書き下ろし作品が続けて2冊発売されました。どちらも、人生やお金、仕事や幸福などについて率直に語っています。


『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて

著者:山崎 元
発行:2024年2月
出版社:Gakken

第一章:働き方・稼ぎ方
第二章:お金の増やし方と資本経済の仕組み
第三章:もう少し話しておきたいこと
第四章:小さな幸福論
付記:大人になった息子へ ー息子への手紙全文

食道がんにかかり余命宣告を受けた著者が、人生哲学を込めて息子に送った手紙。本書はその手紙を元に書かれました。「自分の子供たち世代に伝えたいことは、これでひと通り全部伝えられた」(ーあとがきより抜粋) と語るように、山崎元さんの総決算といえる書です。

第一章の『働き方・稼ぎ方』では、「昭和生まれの働き方」は不自由な職業人生を送り、大金持ちになれず、つまらないからやめておけ、と説きその代わりに効率性と自由を求めた「新しい働き方」を提示しています。

転職が難しく、クビになることが大きなコストとなった「昭和の働き方」では、できるだけ大手の安定した企業に就職して、そこで長く勤めることが重要でした。しかし一つの会社に居続けると人事が重要になり、人事は好き嫌いで決まるもので評定者の言いなりになることが求められ、その結果不自由な職業人生になると解説しています。

それに対して「新しい働き方」では、なるべく若い時点で効率よく財産を作り、働き方の「自由」の範囲を大きく拡げる事が重要で、「常に適度なリスクを取ること」、「他人と異なることを恐れずにむしろそのために工夫すること」の2つのマインドが必要だとしています。

そして「新しい働き方」の具体的な手段として、4つの「株式で稼ぐ働き方」を説明しています。

「新しい働き方」の4つの方法
(1)自分で起業する。(2)早い段階で起業に参加する。
(3)報酬の大きな部分を自社株ないし自社株のストックオプションで支払ってくれる会社で働く。
(4)起業の初期段階で出資させてもらう。

全編を通して、失敗恐れずにリスクを取ることの重要さを語っています。またお金はあくまで「手段」であって「目的」ではなく、人生は面白さや自由を追求したほうがいいとも述べています。また「投資は働かないで稼ぐ」ことではないと、投資の基本的なことも説明しているので投資を敬遠している人にも一度は目を通してほしい書です。


 山崎元の最終講義 予想希望分割せよ

著者:山崎 元
発行:2024年3月
出版社:PHP

第1章:「るを量りてずるを制す」なんて言うけれど・・・・・・
第2章:今の仕事、会社を続けるべきか悩んでいます。
第3章:『君たちはどう生きるか』という作品がありますが、本当にどうしましょう・・・・


「正しくて、できれば面白いことを、なるべくたくさんの人に伝えて、ちょっと感心されたい」ー(本書 P.4)

そんなモチベーションを持つ著者が、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」に寄せられた読者からのいろいろな疑問に答えます。基本的な考え方は予想と希望を分けること。予想と希望を分けるのは重要な事で、「しっかり分けると、すっきりと物事が考えられる」としています。

「がん保険は必要か?」、「持ち家を持つべきか?」、「FIREについてどう考える」など、金銭的なことから転職、資格、営業の在り方などの仕事の問題、そして死生観や終活をどう考えるか、などの疑問に忖度のない率直な意見を述べています。


『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』、『山崎元の最終講義 予想と希望を分割せよ』、共に子供が大きくなった時にぜひ読んでほしいと思いました。その理由の一つが下の図です。

図:「資本」を巡る利害関係者の相関図


出所: (トウシル 「搾取」から逃れる「働き方」と「資産運用」 2023/9/20  山崎元)より

この図は「資本」を巡る利害関係者の相関を表すものとして、山崎さんがいろいろな記事で使っている図で、「経済は、リスクを嫌う人が安く働くことで、資本の形でリスクを取っている人に利潤を提供する事で回っている」と説明しています。

図でいう【労働者タイプA】は、安定雇用と定額給与を求め、リスクを嫌います。会社から与えられた仕事をこなし安定を求める代わりに安い賃金と、自由のないポジションに立つことになります。また、たとえ賃金が低いとなげいても、その賃金で働く別の労働者がいれば、取って代えられる立場にいます。そして一般的なサラリーマンが【労働者タイプA】にあたります。

労働者の労働の成果を資本家が吸い上げる事を「搾取さくしゅ」といい非難する人もいますが、山崎さんは記事の中で現代の労働は、離脱の自由を伴う自発的な行為だとして、多くの会社員が自発的に搾取されていると語ります。

また、著書『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』の中で、息子に対して【労働者タイプA】だけの人になるのは、つまらない人生を送ることになるにで、全力で避けよ、と語っています。

【労働者タイプA】の低賃金や、不自由さを伴うつまらない人生を避けるためには、先に上げた「新しい働き方」を行ったり、たとえ【労働者タイプA】のポジションが変えられなくても、転職で少しでもいい条件の会社を選んだり、特技を習得して「代えのきかない人材」になるなどの対策が必要です。

下記の、山崎さんが「トウシル」に寄せた記事(2023/9/20)がとても参考になります。

参考記事:トウシル 「搾取」から逃れる「働き方」と「資産運用」2023/9/23山崎元


私の会社の中にも、給与が安いなどの会社の不満をグダグダ言っている人(特に、高齢の昭和の働き方の考えの人)がいます。また若い人に、「あとあと自分の為にもなるから、いろいろな仕事をこなした方がいいよ。」と言っても、「面倒だし、自分だけ仕事量が増えるのは嫌だ。」と答える人もいます。

そういう声を聞いていると、この人たちは自分が【労働者タイプA】だと(私も労働者タイプAの立場の人間ですが)認識しているのか、と思うことがあります。あれこれ愚痴るくらいなら、もう少し自分のポジションを考え、いろいろと変えていかないといけないのではと思うのですが。

ちなみに私はというと、定年まで7年を切っていて出来ることは限られていると思っていますが、とりあえず色々な仕事を受けるようにしています。これは安請け合いでやっている事ではなく、色々こなせる人材を目指して、少しでも「代えのきかない人材」になれたらと考えてのことです。大した事ではないですが。


『やりたいことなど特にない。安定してくらせるなら、それでいい」と自分に言い聞かせて、成り行きに任せようとすると、人生の条件が不利な方に働く「経済的重力」が働きます。』
ー「山崎元の最終講義 予想と希望を分割せよ」P.88より引用

子供が「リスクを取る重要さ」を認識して、少しでも「つまらない人生」を避けてくれたらと願っています。


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