ザ・芸能人

今さらな話ですが、AKB48のコンセプトは「会いに行けるアイドル」だそうです。専用の劇場を持ち、公演を多く行うことで、ファンがいつでもメンバーに会いに行けて、身近に感じることが出来たことが人気になった特徴の一つなのだそうです。

私が子供の頃は(今でもですが)、芸能人といえば雲の上の存在でした。生まれ育った沖縄では、情報はテレビと雑誌に限られていて、普段の生活で芸能人を目にすることはほとんどありませんでした。例えば有名な歌手などは、10年に一度ライブでやって来るかどうかといった状態でした。(現在では、沖縄にやって来る芸能人はだいぶ増えました。)そんな情報が少ない中、映画俳優などでテレビにあまり出ない人が「自伝」などを出すとついつい買って読んでしまいます。


みなさんのおかげです
 木梨憲武自伝

著者:木梨憲武
発行:2024年 1月
出版社:小学館

著者初の本格自伝。今年の1月31日に発行。

木梨サイクル、テレビ愛、帝京高校サッカー部、部活芸、とんねるず、家族のこと。普段テレビであまり語らない方なので、いろいろなことが知ることが出来て楽しめました。

『(重要な会議に憲武はいなくて)どこかで遊んでたんじゃないかな。打ち合わせが嫌いな人だから(笑)。でも、本番、やってみると、打ち合わせに参加していたんじゃないかって思うくらい、完璧にこなして圧倒的な笑いをとってしまう。貴明は、理屈で笑わせるけど、憲武は理屈抜きで笑わせる。』 (本書、P188から引用)

文藝春秋2023年12月号での秋元康さんのコメントの引用文が本書に載っていました。木梨さんの天才的な一面がよくわかります。

一方では、好き勝手にやっているように見えて周りへの気配りを欠かさない一面も見られます。笑いの場面でもアドリブをやりながら、周りの状況をきちんと確認していたり、帝京高校サッカー部時代には、放課後の先輩の”説教”(しごきのようなもの)が嫌だったために事前に根回しをして、それをうまく回避していたそうです。

また、毎年年末に慰労の意味を込めて、とんねるず主催で「大宴会」を開いていたエピソードが載っていました。フジテレビや日本テレビ、TBS、ニッポン放送など、お世話になっているスタッフなどが、局の垣根を超えて総勢100人位が集まって楽しく飲み食いをして、腹を割って話し合っていたそうです。

とんねるずは個人事務所の所属なので、組織力がない分、普段から番組スタッフとのコミュニケーションは徹底して大事にしていると語っていました。


『あなたに褒められたくて』

著者:高倉健
発行:1993年
出版社:集英社文庫

昭和の大スター高倉健さんのエッセイ集。

本書で第13回日本文芸大賞エッセイ賞を受賞しています。

意外な話もいくつか載っていて、面白かったのは催眠術の話。あの丹波哲郎さんが催眠術をかけているのをみてハマったのだそうです。

一時は、本なども買ってきて勉強し、実際に自分でも催眠術をかけるようになって、仕事にならなくなったとか。


話は変わりますが、高倉健さんの遺作となった映画「あなたへ」。

初めて観た時に私は、「健さん、俳優を辞めるのかな」と思いました。理由はこの映画の出演者の凄さ。

大滝秀治さん(大滝さんにとっても遺作となりました)や長塚京三さん、田中裕子さんなどのベテランのみなさん。佐藤浩市さん、浅野忠信さん、綾瀬はるかさん、草彅剛さんなどの中堅から若手俳優のみなさん。そして、石倉三郎さんやビートたけしさん等の昔からの共演者。ちなみにナインティナインの岡村さんもチョイ役で出ています。

この俳優陣を見て、最後だからみんな同窓会のように集まった、みたいな感じに思えました。監督の降旗康男さんは、健さん主演で次回作も準備をしていたそうなので、たまたまそう見えた話ですが。


『相性』

著者:三浦友和
発行:2011年
出版社:小学館文庫

幼少期から2011年までの半生を綴った著者初の自伝。高校時代からの友人、故・忌野清志郎さんとの話や、家族への思い、映画への思いなど多くのことを語られています。

また、タバコ『キャビン』のCMに起用されたさいに、「アイドルがタバコを吸っていいのか」と国会で論争になった話など、”アイドル・青春スター”の気苦労の一面も載っています。

国会論争は、当時の日本専売公社・総裁の「 三浦友和さんはご結婚もされ、 立派な社会人です」(本書P,146) という答弁で幕を閉じたそうです。

まだ現役なので、「昭和の青春スター」と言うと失礼なのかもしれませんが、私が小学生だった45年程前、三浦友和さんは間違いなく「2枚目・青春スター」でした。

昔は好青年役が多かったのですが、今では、ちょっとした悪役も増え、それがまた似合っていて渋い。数年前にアマゾン・プライムビデオでドラマ『トクソウ』を観たのですが、切れ者で、少しダーティな東京地検特捜部・副部長の役がすごく良かったです。


『カワサキ・キッド』

著者:東山紀之
発行:2015年
出版社:朝日文庫

東山さんの父親代わりのような伯父が42歳で他界します。同じ42歳を迎え東山さんは、これまでの人生を振り返りました。

カワサキに住んでいた幼少期から偶然の重なりで芸能界入りした話、また母親の財布からこっそりお金をくすねた話など、かなり赤裸々に語っています。


私には7歳上に姉がいます。その姉は36年前、東京都大田区の雪が谷大塚に住んでいました。住んでいたアパートは、東急池上線・雪が谷大塚駅からは5分ほどの距離でした。当時高校生だった私は、夏休みを利用して姉の所へ1週間ほど遊びに行きました。平日は姉も仕事なので、毎日一人であっちこっち繰り出していました。

ある日、東急池上線の下りの終点、蒲田まで遊びに行きたいと姉に伝えると「蒲田や川崎はガラが悪いから気をつけて」と言われました。実際に行って駅周辺を散策したのですが、何もおかしな事は起きず、無事帰りました。


本書「カワサキ・キッド」を手にした時、東山さんが川崎出身だと知って驚きました。東山さんはすごく誠実な人に見えます。その誠実なイメージと川崎のガラの悪さ(川崎住民の方すみません)が結びつかなかったからです。本書でも風俗街の界隈で住んでいたと書かれています。(私の実家も飲み屋街の近くで、ガラが悪いです)

公害がひどく、洗濯物を外に干すと真っ黒になり、銭湯へ行くとパンチパーマで入れ墨の怖いおじさんが多くいたそうです。そういった環境でよくグレなかったな、というのが本書を読んでの一番の感想でした。

東山さんは、ジャニーズ性加害問題で芸能活動は引退となりましが、その誠実な性格やジャニーズ問題に対して、会社に厳しく発言する姿勢を見ていると、自ら社長になって問題に対処する事には向いているように見えました。難しいとは思いますが、きっとうまく問題を処理していくのではないかと思っています。

話は変わりますが、「必殺仕事人」は中学のころからよく観ていて好きな時代劇の一つでした。一度シリーズが終わって、東山さん主演で復活したのを喜んでいたのですが、これから東山さんの仕事人が見れなくなるのが残念です。


#木梨憲武 #高倉健 #三浦友和 #東山紀之 #芸能人

タイトルとURLをコピーしました