私は普段からあまりテレビドラマを観ません。しかし、たまたま観たドラマが面白くて観る気になる場合があるのですが、そういう時に限って残り2話とか、最悪な場合は次週最終回というパターンがこれまで何度もありました。そういう時はいつも、見逃して損した気分を抱えたまま最終回を観ています。
今年になって、BSよしもとの「又吉・せきしろの何もしない散歩」という番組を観るようになりました。ピースの又吉直樹さんと作家のせきしろさんが、東北の街を散歩しながら自由律俳句を作るという番組です。観るようになって、2,3週目の回が100回目の放送でした。早くも100回近くも見逃したのかと、だいぶ損をした気分で100回目の放送を観てました。
二人の俳句は思わず吹き出したり、共感できたりと、さすが言葉を生業とした二人だなと、いつも感心しながら番組を観ています。
2023年に放送が終了した「タモリ倶楽部」のように長寿番組になることを願っています。
『カキフライが無いなら来なかった』
著者:せきしろ
:又吉直樹
発行:平成25年 初版発行
発行所:幻冬舎文庫
せきしろさん、又吉さん、二人の自由律俳句集。
自由律俳句と二人が撮った写真とエッセイが収録されています。
今回「又吉・せきしろの何もしない散歩」を観て、結構面白かったので、俳句集を読んでみたくなり買いました。
収録された作品の中から。
「醤油差しを倒すまでは幸せだった」ーせきしろ
「このままでは可決されてしまう」ー又吉直樹
「マイケルジャクソンの物真似が聞こえ振り向く」ーせきしろ
「単三電池握りしめて単三電池を買いに行った日」ー又吉直樹
『まさかジープで来るとは』
著者:せきしろ
:又吉直樹
発行:平成26年 初版発行
発行所:幻冬舎文庫
二人の自由律俳句集第二弾。
ページ数も増えてさらにパワーアップ。読みながら思わず声を出して笑ってしまうので、周りに誰もいない時に読みました。
収録された作品の中から。
「空想の中でも妥協する」ー又吉直樹
「繰り返された注文がいきなり違う」ーせきしろ
「浣腸をして怒られている」ー又吉直樹
「昨日絞り出した歯磨き粉を今日も絞る」ーせきしろ
正直言うと、「又吉・せきしろの何もしない散歩」を観るまでは、せきしろさんの事は全然知りませんでした。せきしろさんの俳句以外の著作も読みたくなったので、とりあえず面白そうな本を2冊選んで買いました。
『たとえる技術』
著者:せきしろ
発行:2016年
発行所:文響社
たとえるには技術がいる。
言われるとすごく納得できるが、それを思いつくかというと、難しい。せきしろさんの才能が思う存分感じられる1冊です。
「違い」をたとえる。
「ビールジョッキを倒す前と後のテンションのように違う」
「アウェー感」をたとえる。
「バイト初日のようなアウェー感」
『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』
著者:せきしろ
発行:2017年
発行所:双葉社
ハガキ職人としてすごした青春時代を綴った半自伝的小説。
私はせきしろさんと同じ1970年生まれ。本書の主人公同様に高校卒業の時点では、就職も進学も考えられず、とりあえずバイトに励む日々を送っていました。ラジオに投稿したことは無いですが、共感できる部分が多くて、読んでいくうちに何もなかった青春時代を思い出して切なくなりました。
番組を観たり俳句集を読んでいくうちに、自分でも俳句を詠んでみたくなりました。
「母親に叱られた娘に叱られる」
「15分と決めたのに7分で出たサウナ」
「ホクロの毛が白くなっていた」
詠んでみると、出来はともかくとして結構面白く何か気分がいい。ハマりそうな感じです。